【能力不足社員への対応】「仕事ができない社員」は解雇できる?いきなり解雇は、ほぼ無効。対応の6段階と解雇のハードル3つの視点を弁護士が解説

「仕事ができない社員を、解雇したい」。こうしたご相談は、企業から非常に多く寄せられます。しかし、日本の労働法制では解雇のハードルが高く、改善指導などの段階を踏まずに、いきなり解雇をした場合、その解雇はほぼ無効と考えておくべきです。

本記事では、能力不足社員への対応の基本として、①そもそも「能力不足」とは何か、②対応の順番(原則6段階)、③解雇のハードルを判断する3つの視点、そして④予防策を、弁護士が分かりやすく解説します。

この記事を書いた人

弁護士田村裕一郎

弁護士歴20年超。四大事務所で培った訴訟対応力で、深刻な労働紛争や企業法務トラブルを解決してきた実績を持つ。執筆やセミナー講師など多数。

目次

第1 能力不足とは

能力不足とは、「約束した仕事が、できないこと」です。ポイントは、新卒採用か中途採用かです。

新卒 → 会社が育てる前提。能力が足りなくて当たり前なので、「能力不足」とはいいにくい
中途 → 即戦力が前提。約束した能力が基準となり、それに届いていなければ能力不足となりやすい

そのため、雇用契約書、就業規則、募集要項などで、何を約束して採用したのかが非常に重要になります。

なお、能力不足社員を放置すると、❶会社には人件費の負担、❷上司には指導の負担、❸他の社員には士気の低下という、3つの負担が生じます。会社として放置はできません。

ご相談は[顧問弁護士_弁護士相談]をクリック。初回無料です(03-6272-5922)。

第2 対応の順番 ― 原則6段階

対応は、原則として次の順番で進めます。

① 改善指導 → ② 配転 → ③ 降格 → ④ 賃下げ → ⑤ 退職勧奨 → ⑥ 解雇

実際には、この順番どおりにきれいに進むことはむしろ稀です。配転した後も改善指導を続けることは当然ありますし、比較的早い段階で退職勧奨をすることもあります。しかし、大きな流れとしてはこの順番であり、解雇は最後の手段である点が最も重要です。

ここに注意!

①改善指導
・口頭で注意したら、メール・書面で記録を残す(裁判では「注意されていない」と争われることが多いため)
・「繰り返せば解雇もあり得る」と自覚させる。ただし、「解雇」という言葉をいつ使うかは要注意

②配転・降格・賃下げ
本人の同意を得て進めるなら、トラブルにはなりにくいです。一方、会社が一方的に行うなら、就業規則・契約書に「根拠」があるかの確認が必須です。加えて、それぞれの有効要件を満たす必要があります。

③退職勧奨
勧めること自体は、原則自由です。しかし、はっきり断られたら、止めるべきです。しつこい退職勧奨はNGです。また、いつ・どこで・誰が・どのような言い方で行うかなど、事前の準備が欠かせません。

弁護士田村裕一郎

実際には賞与減額・人事考課などによる対応もできますので、類型は6種類に限られません。

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第3 解雇のハードル ― 3つの視点

視点ハードル高ハードル低め
1 採用のされ方新卒(育てる努力が問われる)ハイクラス中途(約束した能力が基準)
2 年収年収が低い(育成・指導がより必要)年収が高い(給与に見合う能力が基準)
3 会社の規模大企業(配転・研修までやったか)零細企業(配転先がなくても、やむなしとなりやすい)

ただし、「ハードル低め」といっても、簡単に解雇できるわけではありません。例えばハイクラス中途の場合、「約束した能力」の中身をめぐって争いになることがよくあります。労働条件通知書、オファーレター、雇用契約書、募集要項、面接記録などを保管しておくことが重要です。

また、零細企業であっても、裁判所は「なんとか雇用を維持できなかったか」という発想を持っています。指導と記録は、どちらも必須です。

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第4 予防とまとめ ― 入口が大切

いちばんの予防は、「入口」=採用段階での見極めです。特に中途採用では、能力が足りているかを面接等でしっかり見極めます。仮に見極めを誤っても、試用期間(通常3〜6か月程度)で見極めることが重要です。「後で解雇すればいい」と問題を先送りするのは、非常に危険です。

まとめ

  1. 何を約束して採用したか、確認する
  2. 原則の順番で、段階を踏む
  3. 指導の記録を残す

本記事は概要の説明にすぎません。個別の事案では対応の順番が入れ替わるなど、イレギュラーな判断が求められることも多いため、素人判断は禁物です。「この社員を解雇してよいか不安」という経営者・人事担当者の方は、取り返しのつかない労務トラブルに発展する前に、ぜひ一度、外部専門家(社労士や弁護士など)にご相談ください。

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第5 動画解説

https://youtu.be/xRNFMPQMeCs

動画解説に興味がある方は、こちらをご視聴ください。

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