メルマガ2020年10月号(号外②)

目次

③(労務×有期社員×同一労働同一賃金×年末年始勤務手当×祝日給×扶養手当)
 有期労働契約者と無期労働契約者との間で、年末年始勤務手当、祝日給、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇に相違があったことが労働契約法20条に違反するものとして、不法行為に基づく、賃金相当額等の損害賠償請求権が肯定された例
(最判令和2年10月15日(日本郵便(大阪)事件))

A 事案の概要

本件は,第1審被告と有期労働契約を締結して勤務し,又は勤務していた第1審原告らが,無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で,年末年始勤務手当,祝日給,扶養手当,夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条に違反するものであったと主張して,第1審被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求めるなどの請求をする事案である。

B 原判決及び争点
1 原判決(大阪高裁)は,
①年末年始勤務手当及び年始期間(祝日を除く1月1日~3日)の勤務に対する祝日給の支給の有無に関する労働条件の相違について,有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていた時期に限り,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとして,損害賠償請求の一部を認容し,

②扶養手当の支給の有無に関する労働条件の相違について,同条にいう不合理と認められるものに当たらないとして,損害賠償請求を棄却し,

③夏期休暇及び冬期休暇の付与の有無に関する労働条件の相違について,同条にいう不合理と認められるものに当たることを前提に,第1審原告らに上記の休暇の日数分の賃金に相当する額の損害が発生したとして,損害賠償請求を認容した。

2 本件における争点は,上記①及び②につき,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否か,上記③につき,損害が生じたといえるか否かである。

C 判決の内容
(下線部、①②などの数字、装飾等は引用者による。)

第1 事案の概要
―・中略・―

2(3)正社員
・・・扶養手当は,所定の扶養親族のある者に支給されるものであり,その額は,扶養親族の種類等に応じて,扶養親族1人につき月額1500円~1万5800円である。

また,祝日給は,正社員が祝日において割り振られた正規の勤務時間中に勤務することを命ぜられて勤務したとき(祝日代休が指定された場合を除く。)及び祝日を除く1月1日から同月3日までの期間(以下「年始期間」という。)に勤務したときに支給されるものであり,その額は,月の初日から末日までの間における祝日給の支給対象時間(勤務時間)に次の算式により求められる額を乗じて得た額である。なお,正社員に適用される就業規則において,郵便の業務を担当する正社員には,年始期間について特別休暇が与えられるものとされている。

((基本給の月額+基本給及び扶養手当の月額に係る調整手当の月額+隔遠地手当の月額)×12/年間所定勤務時間数)×100分の135

さらに,特殊勤務手当は,著しく危険,不快,不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で,給与上特別の考慮を必要とし,かつ,その特殊性を基本給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する正社員に,その勤務の特殊性に応じて支給するものとされている。特殊勤務手当の一つである年末年始勤務手当は,12月29日から翌年1月3日までの間において実際に勤務したときに支給されるものであり,その額は,12月29日から同月31日までは1日につき4000円,1月1日から同月3日までは1日につき5000円であるが,実際に勤務した時間が4時間以下の場合は,それぞれその半額である。・・・

(4)本件契約社員
・・・郵便の業務を担当する時給制契約社員及び月給制契約社員(以下,併せて「本件契約社員」という。)に対して,扶養手当及び年末年始勤務手当は支給されず,祝日割増賃金は,正社員に対する祝日給とは異なり,年始期間に勤務したときには支給されない。なお,本件契約社員には年始期間について特別休暇は与えられていない。・・・

第2 年末年始勤務手当及び祝日給
1 原審(省略)

2 判断
(1)年末年始勤務手当について
  ア 年末年始勤務手当の性質等
第1審被告における年末年始勤務手当は,郵便の業務を担当する正社員の給与を構成する特殊勤務手当の一つであり,12月29日から翌年1月3日までの間において実際に勤務したときに支給されるものであることからすると,同業務についての最繁忙期であり,多くの労働者が休日として過ごしている上記の期間において,同業務に従事したことに対し,その勤務の特殊性から基本給に加えて支給される対価としての性質を有するものであるといえる。また,年末年始勤務手当は,正社員が従事した業務の内容やその難度等に関わらず,所定の期間において実際に勤務したこと自体を支給要件とするものであり,その支給金額も,実際に勤務した時期と時間に応じて一律である。

   イ 不合理であるかの判断
上記のような年末年始勤務手当の性質や支給要件及び支給金額に照らせば,これを支給することとした趣旨は,本件契約社員にも妥当するものである。そうすると,前記第1の2(5)~(7)のとおり,郵便の業務を担当する正社員と本件契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,両者の間に年末年始勤務手当に係る労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものといえる。

   ウ 結論
したがって,郵便の業務を担当する正社員に対して年末年始勤務手当を支給する一方で,本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

        

(2)年始期間の勤務に対する祝日給について
 ア 祝日給の目的
第1審被告における祝日給は,祝日のほか,年始期間の勤務に対しても支給されるものである。年始期間については,郵便の業務を担当する正社員に対して特別休暇が与えられており,これは,多くの労働者にとって年始期間が休日とされているという慣行に沿った休暇を設けるという目的によるものであると解される。これに対し,本件契約社員に対しては,年始期間についての特別休暇は与えられず,年始期間の勤務に対しても,正社員に支給される祝日給に対応する祝日割増賃金は支給されない。そうすると,年始期間の勤務に対する祝日給は,特別休暇が与えられることとされているにもかかわらず最繁忙期であるために年始期間に勤務したことについて,その代償として,通常の勤務に対する賃金に所定の割増しをしたものを支給することとされたものと解され,郵便の業務を担当する正社員と本件契約社員との間の祝日給及びこれに対応する祝日割増賃金に係る上記の労働条件の相違は,上記特別休暇に係る労働条件の相違を反映したものと考えられる。

 イ 不合理であるかの判断
しかしながら,本件契約社員は,契約期間が6か月以内又は1年以内とされており,第1審原告らのように有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者も存するなど,繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく,業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれている。そうすると,最繁忙期における労働力の確保の観点から,本件契約社員に対して上記特別休暇を付与しないこと自体には理由があるということはできるものの,年始期間における勤務の代償として祝日給を支給する趣旨は,本件契約社員にも妥当するというべきである。そうすると,前記第1の2(5)~(7)のとおり,郵便の業務を担当する正社員と本件契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,上記祝日給を正社員に支給する一方で本件契約社員にはこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものといえる。

    ウ 結論
したがって,郵便の業務を担当する正社員に対して年始期間の勤務に対する祝日給を支給する一方で, 本件契約社員に対してこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

3 最終結論
以上と異なる原審の上記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。第1審原告X1の論旨は以上の趣旨をいうものとして理由がある。 他方,以上によれば,第1審被告の論旨は採用することができない。

第3 扶養手当
1 原審(省略)

2  判断
(1)扶養手当の目的
第1審被告において,郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当が支給されているのは,上記正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから,その生活保障や福利厚生を図り,扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて,その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。このように,継続的な勤務が見込まれる労働者に扶養手当を支給するものとすることは,使用者の経営判断として尊重し得るものと解される。

(2)不合理であるかの判断
もっとも,上記目的に照らせば,本件契約社員についても,扶養親族があり,かつ,相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば,扶養手当を支給することとした趣旨は妥当するというべきである。そして,第1審被告においては,本件契約社員は,契約期間が6か月以内又は1年以内とされており,第1審原告らのように有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど,相応に継続的な勤務が見込まれているといえる。そうすると,前記第1の2(5)~(7)のとおり,上記正社員と本件契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,両者の間に扶養手当に係る労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものというべきである。

(3)結論
   したがって,郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である 。

3 最終結論
 以上と異なる原審の上記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は以上の趣旨をいうものとして理由がある。

第4 夏期休暇及び冬期休暇
―・略・―(日本郵便(佐賀)事件の箇所をご参照下さい。)

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④(労務×有期社員×同一労働同一賃金×夏季冬季休暇)
 有期労働契約者と無期労働契約者との間で、夏期休暇及び冬期休暇に相違があったことが労働契約法20条に違反するものとして、不法行為に基づく、賃金相当額等の損害賠償請求権が肯定された例
(最判令和2年10月15日(日本郵便(佐賀)事件))

A 事案の概要
本件は,上告人(第1審被告)と有期労働契約を締結して勤務していた被上告人(第1審原告)が,無期労働契約を締結している労働者(正社員)と被上告人との間で,夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条に違反するものであったと主張して,上告人に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求めるなどの請求をする事案である。

B 原判決及び争点
1 原判決(福岡高裁)は,夏期休暇及び冬期休暇の付与の有無に関する労働条件の相違について,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たり,被上告人に上記の休暇の日数分の賃金に相当する額の損害が発生したとして,損害賠償請求を認容した。

2  本件における争点は,上記労働条件の相違について,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否か,また,損害が生じたといえるか否かである。

C 判決の内容
(下線部、①②などの数字、装飾等は引用者による。)

―・中略・―

  2(3)正社員に適用される就業規則では,郵便の業務を担当する正社員に夏期冬期休暇が与えられることとされている。夏期休暇は6月1日から9月30日まで, 冬期休暇は10月1日から翌年3月31日までの各期間において,それぞれ3日まで与えられる有給休暇である。

これに対し,郵便の業務を担当する時給制契約社員には夏期冬期休暇が与えられない。

―・中略・―

4 判断
(1)要件(不合理か否か)
ア 規範定立(労契法20条)
有期労働契約を締結している労働者と無期労働契約を締結している労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である(最高裁平成29年(受)第442号同30年6月1日第二小法廷判決・民集72巻2号202頁)ところ,賃金以外の労働条件の相違についても,同様に,個々の労働条件の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である。

イ あてはめ
     (ア)夏季冬季休暇の目的
上告人において,郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇が与えられているのは,年次有給休暇や病気休暇等とは別に,労働から離れる機会を与えることにより,心身の回復を図るという目的によるものであると解され,夏期冬期休暇の取得の可否や取得し得る日数は上記正社員の勤続期間の長さに応じて定まるものとはされていない。

    (イ)不合理であるかの判断
そして,郵便の業務を担当する時給制契約社員は,契約期間が6か月以内とされるなど,繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく,業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれているのであって,夏期冬期休暇を与える趣旨は,上記時給制契約社員にも妥当するというべきである。そうすると,前記2(2)のとおり,郵便の業務を担当する正社員と同業務を担当する時給制契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,両者の間に夏期冬期休暇に係る労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものといえる。

    (ウ)結論
   したがって,郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で,郵便の業務を担当する時給制契約社員に対して夏期冬期休暇を与えないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

(2)効果(損害)
また,上告人における夏期冬期休暇は,有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ,郵便の業務を担当する時給制契約社員である被上告人は,夏期冬期休暇を与えられなかったことにより,当該所定の日数につき,本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから,上記勤務をしたことによる財産的損害を受けたものということができる。

5 最終結論
以上と同旨の原審の判断は,いずれも正当として是認することができる。論旨は採用することができない。また,その余の上告受理申立て理由は,上告受理の決定において排除された。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官  山口厚 裁判官 池上政幸  裁判官 小池裕  裁判官 木澤克之  裁判官 深山卓也)

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⑤(労務×有期社員×同一労働同一賃金×病気休暇)
  有期労働契約者と無期労働契約者との間で、年末年始勤務手当、私傷病による病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇に相違があったことが労働契約法20条に違反するものとして、不法行為に基づく、賃金相当額等の損害賠償請求権が肯定された例
(最判令和2年10月15日(日本郵便(東京)事件))

A 事案の概要
本件は,第1審被告と有期労働契約を締結して勤務している第1審原告らが,無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で,年末年始勤務手当,病気休暇,夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条に違反するものであったと主張して,第1審被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求めるなどの請求をする事案である。

B 原判決及び争点
1 原判決(東京高裁)は,
①年末年始勤務手当の支給の有無及び私傷病による病気休暇を有給とするか無給とするかに関する労働条件の相違について,いずれも労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるとして,これらに係る損害賠償請求の一部を認容し,

②夏期休暇及び冬期休暇の付与の有無に関する労働条件の相違について,同条にいう不合理と認められるものに当たるとした上で,第1審原告らにこれによる損害が生じたとはいえないとして,これに係る損害賠償請求を棄却した。

2 本件における争点は,上記①につき,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たるか否か,上記②につき,損害が生じたといえるか否かである。

C 判決の内容
(下線部、①②などの数字、装飾等は引用者による。)
第1 事案の概要

―・中略・―

2(3)・・・病気休暇は,私傷病等により,勤務日又は正規の勤務時間中に勤務しない者に与えられる有給休暇であり,私傷病による病気休暇は少なくとも引き続き90日間まで与えられる。

(4)・・・期間雇用社員に適用される就業規則において,病気休暇が与えられることとされているが,私傷病による病気休暇は1年に10日の範囲で無給の休暇が与えられるにとどまる。・・・

―・中略・―

 

第2 年末年始勤務手当及び病気休暇
2 判断
(1)年末年始勤務手当(省略)
(2)病気休暇について

ア 規範定立
有期労働契約を締結している労働者と無期労働契約を締結している労働者との個々の賃金項目に係る労働条件の相違が労働契約法20条にいう不合理と認められるものであるか否かを判断するに当たっては,両者の賃金の総額を比較することのみによるのではなく,当該賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当であるところ,賃金以外の労働条件の相違についても,同様に,個々の労働条件が定められた趣旨を個別に考慮すべきものと解するのが相当である(最高裁平成30年(受)第1519号令和2年10月15日第一小法廷判決・公刊物未登載)。

イ あてはめ
(ア)病気休暇の目的
第1審被告において,私傷病により勤務することができなくなった郵便の業務を担当する正社員に対して有給の病気休暇が与えられているのは,上記正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから,その生活保障を図り,私傷病の療養に専念させることを通じて,その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。このように,継続的な勤務が見込まれる労働者に私傷病による有給の病気休暇を与えるものとすることは,使用者の経営判断として尊重し得るものと解される。

(イ)不合理であるかの判断
もっとも,上記目的に照らせば,郵便の業務を担当する時給制契約社員についても,相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば,私傷病による有給の病気休暇を与えることとした趣旨は妥当するというべきである。

そして,第1審被告においては,上記時給制契約社員は,契約期間が6か月以内とされており,第1審原告らのように有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど,相応に継続的な勤務が見込まれているといえる。そうすると,前記第1の2 (5)~(7)のとおり,上記正社員と上記時給制契約社員との間に労働契約法20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても,私傷病による病気休暇の日数につき相違を設けることはともかく,これを有給とするか無給とするかにつき労働条件の相違があることは,不合理であると評価することができるものといえる。

(ウ)結論
したがって,私傷病による病気休暇として,郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で,同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は,労働契約法20条 にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

3 最終結論
    以上によれば,所論の点に関する原審の判断は,いずれも正当として是認することができる。論旨はいずれも採用することができない。なお,その余の上告受理申立て理由は,上告受理の決定において排除された。

第3 夏期休暇及び冬期休暇
―・略・―(日本郵便(佐賀)事件の箇所をご参照下さい。)

なお、裁判例についての詳細コメントに興味のある方は、メルマガ(無料)を登録下さい(メルマガ登録よりも後に紹介する裁判例について、無料でご覧いただけます)。詳細はこちら

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