2026年3月18日、厚労省より「職場における熱中症防止のためのガイドライン」が発表されました。
2025年6月に改正労働安全衛生規則が発表され、熱中症対策が法的義務化となりましたが、本ガイドラインはどのような内容なのでしょうか。以下、詳しく解説します。
第1 職場における熱中症防止のためのガイドライン
(1) ガイドラインの目的
本ガイドラインは、職場における熱中症防止のための労働衛生管理体制の確立・作業環境管理・作業管理・健康管理・労働衛生教育等の熱中症リスクに応じて行うことが望ましい具体的方法を一体的に示し、事業者がその業種・業態に応じて適切に選択して取り組むよう促すことにより、職場における熱中症による労働災害等の防止を図ることを目的とするものです。
事業者、作業従事者においても、このガイドラインを参考に熱中症防止対策を検討・実施することが望ましいです。
(2) ガイドラインの適用対象
このガイドラインは、熱中症のおそれのある全ての作業が対象になります。
(3) 実施要項
事業者は、第2で説明するリスク評価に基づき、熱中症によるリスクを把握・評価した上で、その結果に基づき実施することが適切な対策を選択して実施することが考えられます。なお、労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号。以下「安衛則」という。)に定められた措置は、実施しなければなりません。
作業従事者についても、自らの作業環境等における熱中症によるリスクの有無などについて、自らで危険予知を行い、可能な範囲でリスクの低減に努めることが求められます。
なお、労働者と異なる場所で就業する個人事業者等については、自らの熱中症の発症を予防するために、各種支援を活用しつつ、事業者と同様の対応を行うことが望ましいでしょう。
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第2 熱中症のリスク評価
(1) 有害性の要因の特定
熱中症リスクを評価するためには、まず、事業場において、熱中症リスクとなり得る暑熱に関する要因があるかを特定することが必要です。暑熱に関する要因としては、以下のようなものが挙げられます。
・ 身体からの熱放散の阻害要因として、
①高温・多湿な作業環境
②連続作業
③通気性や透湿性の低い衣服や保護具
・ 身体からの熱産生の上昇要因として、
④身体作業負荷の大きい作業
具体的には、事業場において、①温度や湿度が高くないか、②連続した作業をしていないか、③通気性や透湿性が低い衣服や呼吸用保護具を着用していないか、④身体作業負荷が大きい作業をしていないかなどについて検討するとよいでしょう。
(2) 湿球黒球温度の値(WBGT 値)の把握
熱中症リスクを評価するために最も基本となる手法は、WBGTの把握です。
WBGT は、暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数であり、作業場所に WBGT 指数計を設置する等により、湿球黒球温度の値(以下「WBGT 値」という。)を求めることが望ましいです。
WBGT 値の把握に当たっては、日本産業規格 JIS Z 8504 又は JIS B 7922 に適合した WBGT 指数計を準備し、点検することが必要です。黒球がないなど日本産業規格に適合しない測定器では、屋外や輻射熱がある屋内の作業場所で、WBGT 値が正常に測定されない場合があります。
WBGT 値の把握は、上記日本産業規格に適合した WBGT 指数計による随時把握(時刻や場所によって気温が変化することを考慮することが望ましい。)を基本としましょう。その地域を代表する一般的な WBGT を参考とすることは有効ですが、個々の作業場所や作業ごとの状況は反映されていないことに留意することが必要です。特に、測定方法や測定場所の差異により、参考値は、実測した WBGT 値よりも低めの数値となることがあるため、直射日光下における作業、炉等の熱源の近くでの作業、冷房設備がなく風通しの悪い屋内における作業については、実測することが必要です。
なお、地域を代表する一般的な WBGT は環境省熱中症予防情報サイト等に掲載されています。
(3)熱中症リスクの評価・検討
把握した WBGT 値を元に、作業や作業場所の状況に応じ、連続作業時間、服装、作業の身体負荷を勘案し、熱中症リスクが大きいかどうかを見積もることが必要です。熱中症に関するリスクの見積り、措置の検討は以下のように行うことが考えられます。
ア 熱中症リスクの評価
まず、⑵で示した方法により WBGT 値を把握した上で、実測した WBGT 値に対し、表1-2に基づき着衣補正を行いましょう。
着衣補正値を加えた WBGT 値を、表1-1に掲げる身体作業強度及び暑熱順化の状況に応じた WBGT 基準値に照らして、熱中症リスクを正しく見積もることが必要です。
着衣補正値を加えた WBGT 値が、表1-1に掲げるWBGT 基準値を超えている又は超えるおそれのある場合には、①冷房等により当該作業場所の WBGT 値の低減を図ること、②身体作業強度(代謝率レベル)の低い作業に変更すること、③WBGT 基準値より低いWBGT 値である作業場所での作業に変更すること等の熱中症予防対策を、作業の状況等に応じて実施するよう努めることが必要です。
なお、着衣補正値を加えた WBGT 値が WBGT 基準値を超えない場合であっても、WBGT 基準値が前提としている条件に当てはまらないとき又はそもそも WBGT 基準値を算出することができないときなど、熱中症リスクがあるときは、当該 WBGT 値が WBGT 基準値を超えている又は超えるおそれのある場合と同様に、対策を行うことが望ましいです。
(参考)
・ ファン付き作業服の着用で、休憩時間を短くすることも可能です。温度 30℃、湿度 85%における運動実験の結果、ファン付き作業服の着用は非着用時と比較して同様の体温に到達するまで 15 分遅らせる効果があることがわかっています。
・ 同実験の結果、ファン付き作業服の着用は非着用時と比較して推定発汗量を約 20%減少させる効果があることもわかっています。


イ 熱中症リスクの低減のための措置の検討
㋐ まずは、着衣補正値を加えた WBGT 値に係る作業場所の WBGT 値の低減を検討すること(作業環境管理)。低減の方法については●●を参考に、事業場の実情を踏まえて検討すること。
㋑ WBGT 値の低減のための措置を行うことができない又は行っても WBGT値が WBGT 基準値を超えている又は超えるおそれのある場合には、●●を参考に、事業場の実情を踏まえて作業管理を検討すること。
㋒ 一般に暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており暑さに対する身体の調節機能も低下している高年齢作業従事者や、熱中症の発症リスクに影響を与える可能性のある疾病や障がいを持つ作業従事者については、作業管理の検討の際、作業時間の短縮、身体作業強度の低減等を検討するなど、特に留意すること。
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第3 熱中症リスクに応じた措置
(1) 労働衛生管理体制の確立等
事業場における熱中症防止対策については、衛生委員会、安全衛生委員会又はこれらを設けていない事業場における労働者の意見を聴く機会等を活用し、労働者の理解と協力を得つつ労使で話し合い、その内容を労働者に対して周知することが重要です。
また、夏季の対策の効果を、秋季や冬季などに同様の会議体で確認し、次の年の夏季に向けた対策に活用することが望ましいです。
ア 各種管理者等の選任と役割
事業者は、産業医の意見も参考にしながら、衛生管理者(50人未満の事業場では安全衛生推進者又は衛生推進者)を中心に、本ガイドラインに掲げる熱中症防止対策について検討させ、以下の(ア)~(ク)に掲げる業務を行わせるとともに、事業場における熱中症防止に係る責任体制の確立を図ることが必要です。
なお、職長等の現場で作業を管理する者等、衛生管理者、安全衛生推進者等以外の者に熱中症予防対策を行わせる場合は、教育研修を受けた者等熱中症について必要な知識を有する者のうちから、熱中症予防管理者を選任しましょう。
(ア)作業に応じて、適用すべき WBGT 基準値を決定し、併せて衣類に関し WBGT 値に加えるべき着衣補正値の有無を確認すること。
(イ)WBGT 値の低減対策を検討し、その実施状況を確認すること。
(ウ)入職日、作業や休暇の状況等に基づき、あらかじめ各作業従事者の暑熱順化の状況を確認すること。なお、あらかじめ暑熱順化不足の疑われる作業従事者は、●●に示す暑熱順化プログラムに沿って暑熱順化を行う必要があること。
(エ)朝礼時等作業開始前において作業従事者の体調及び暑熱順化の状況を確認すること。
(オ)作業場所の WBGT 値の把握と結果の評価を行う。事業者は、評価結果に基づき、必要に応じて作業時間の短縮等の措置を検討すること。
(カ)職場巡視を行い、作業従事者の水分及び塩分の摂取状況を確認すること。
(キ)退勤後に体調が悪化しうることについて注意喚起すること。
(ク)熱中症に関する労働衛生教育の実施状況を確認すること。
イ 作業手順・作業計画の策定
夏季の暑熱環境下における作業では、作業手順・作業計画を策定することが必須です。
作業手順・作業計画には、特に新規入職者や休み明けの作業従事者については、熱中症を発症するリスクが高いため、作業内容等を十分に考慮した暑熱順化プログラム、WBGT 値に応じた十分な休憩時間の確保、WBGT基準値を踏まえた作業中止に関する事項を含める必要があります。
なお、休憩時間の確保や作業中止に関する事項の検討に当たっては、作業場の設備、休憩場所、作業従事者の服装等の状況に基づいて実施する対策、労働衛生教育、労働衛生管理体制、あらかじめ定めた緊急時の体制等の状況を十分に踏まえたものにすることが必要です。
ウ 報告体制の整備及び手順等の作成並びに周知
事業者は、安衛則第 612 条の2に基づき、WBGT 値が 28 度以上又は気温が 31 度以上の場所において継続して1時間以上又は1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業(以下「熱中症を生ずるおそれのある作業」
という。)を行わせるときは、当該作業に従事する者が熱中症の自覚症状がある場合や、当該作業に従事する者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨を報告させるための体制を整備し、関係者に周知することが必要です。また、当該作業以外の作業に従事する者にも周知することが望ましいです。
報告体制の整備については、作業従事者から電話等による報告を受けることや●●に示す巡視のほか、2人以上の作業者が同時に作業を行うことにより互いの健康状態を確認させるバディ制の採用、ウェアラブルデバイスを用いた作業者の熱中症のリスク管理等が挙げられます。ただし、ウェアラブルデバイスによる管理については、必ずしも当該機器を着用した者の状態を正確に把握することができるわけではないため、他の方法と組み合わせること等により、リスク管理の精度を高めることが望ましいです。
また、事業者は、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業からの離脱、身体冷却、必要に応じての医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順や緊急連絡先を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措置の内容及びその手順等を周知させなければなりません。
手順等の作成に当たっては、必要に応じて手順例➀及び②を参考にできますが、必ずしもこれらによらず、作業場所及び作業内容の実態を踏まえて、事業場独自の手順等を定めて差し支えありません。


(2)作業環境管理
ア WBGT 値の低減
事業者は、過去に熱中症による労働災害が発生した場所など、WBGT基準値を超えている又は超えるおそれのある場所において作業を行うことが予定されている場合には、以下に掲げる措置を例として WBGT 値低減対策を講
ずること等により、WBGT 値の低減に努めることが必要です。
㋐ WBGT 基準値を超えている又は超えるおそれのある作業場所(以下単に「高温多湿作業場所」という。)においては、発熱体と作業従事者の間に熱を遮ることのできる遮へい物等を設けること。
㋑ 屋外の高温多湿作業場所においては、直射日光並びに周囲の壁面及び地面からの照り返しを遮ることができる簡易な屋根等を設けること。
㋒ 高温多湿作業場所に適度な通風又は冷房を行うための設備やミストシャワー等による散水設備などを設け、既に設置している冷房設備等については、その機能を点検すること。
なお、屋内の高温多湿作業場所における当該設備は、除湿機能があることが望ましいです。
また、通風が悪い高温多湿作業場所での散水については、散水後に湿度が上昇することや滑りやすくなることに注意しましょう。
イ 休憩場所の整備等
熱中症の重篤化を防ぐためには、適切な身体冷却が有効です。事業者は、作業場所の近くに冷房を備えた休憩場所又は日陰等の涼しい休憩場所を確保しましょう。休憩場所は、空調設備等を備えていることが望ましいですが、場所によっては制約要件があることに留意することが必要です。
休憩場所は、以下の点に留意して確保しましょう。
ア 休憩の設備の設置については、作業場の性質により個別に可否を判断されるものであるが、港湾などの広い場所の場合は、熱中症の予防の観点から、休憩の設備はできる限り作業従事者が速やかに利用できる場所に設置することが望ましいこと。
イ 休憩場所は、足を伸ばして横になれる広さを確保すること。
ウ 休憩場所又はその近隣に空調設備、氷、アイススラリー(流動性の氷状飲料)、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等の身体を適度に冷やすことのできる設備又は物品を設けること。
エ 電気、水道等のインフラが使用できない場所であっても、日傘や日よけテント等により日陰を作ることなどが有効であること。
オ 水分及び塩分の補給を行えるよう高温多湿作業場所の近傍に飲料水、スポーツドリンク、経口補水液、塩飴等の備付け等を行うこと。配備にあたっては、糖分、塩分の含有量が摂取者に分かるものが望ましいこと。
カ 熱中症のおそれのある作業従事者を発見し、作業離脱、身体冷却を行う際、当該作業従事者を、救急搬送前などに一時的に休憩させる場合は、休憩する者を一人きりにしないこと。
熱中症のおそれのある又は発症した作業従事者を、救急搬送前などに一時的に休憩させる場合に備え、例えば、1の(3)で定めた熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその旨を報告させるために整備した緊急連絡先などの体制や、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を休憩室内に掲示することなどが考えられること。
(3)作業管理
ア 作業時間の短縮等
●●で検討した作業手順・作業計画に基づき、熱中症予防対策を作業の状況等に応じて実施するよう努めることが必要です。熱中症予防対策は、以下のものが考えられます。
ア 作業の休止時間及び休憩時間を確保し、高温多湿作業場所での作業を連続して行う時間を短縮するよう努めること。
休憩時間については、●●を参考に、WBGT 基準値に応じたものとすること。WBGT 値を測定し、着衣補正値を加えた WBGT 値が WBGT 基準値を大幅に超える場合は、原則として作業を行わないこととすること。WBGT 基準値を大幅に超える場合に、やむを得ず作業を行うときは、単独作業を控え、休憩時間を長めに設定することに留意すること。
イ 身体作業強度(代謝率レベル)が高い作業を避けること。
ウ 可能であれば、日陰の場所に作業場所を変更すること。
イ 暑熱順化
高温多湿作業場所において作業従事者を作業に従事させる場合には、暑熱順化(熱に慣れ当該環境に適応すること)の有無が、熱中症の発症リスクに大きく影響することを踏まえ、計画的に、暑熱順化期間を設けることが必要です。
特に、梅雨から夏季になる時期において、気温等が急に上昇した高温多湿作業場所で作業を行う場合、新規入職者などが新たに当該作業を行う場合、又は、作業従事者が長期間、当該作業場所での作業から離れ、その後再び
当該作業を行う場合等においては、通常、当該作業従事者は暑熱順化していないことに留意が必要です。その場合は、暑熱順化プログラムに沿って暑熱順化を行うとともに、WBGT 値に応じた作業の中断等を徹底しましょう。
暑熱順化の方法としては、7日以上かけて暑熱環境での身体的負荷を増やし、作業時間を調整し、次第に長くすることが挙げられます。特に、新規入職者等に対して他の作業従事者と同様の暑熱作業を行わせないよう、計
画的な暑熱順化プログラムを組むことが必要です。
暑熱順化の方法の例としては、職場での暑熱順化は暑さが本格化する前に作業時間を徐々に伸ばすなど調整し、発汗しやすい服装等で作業負荷をかけ、個人の健康状態を確認しながら7日以上かけて実施することが考えられます。職場以外でも、個人の運動、入浴等日常生活で無理のない範囲で汗をかくようにすることでも可能です。
なお、夏季休暇等のため熱へのばく露が中断すると4日後には暑熱順化の顕著な喪失が始まり、3~4週間後には完全に失われることに留意しましょう。
このため、連休前に7日以上かけて身体的負荷を増やすなど暑熱順化した作業従事者についても、連休後には、休暇中の活動状況をヒアリングするなどして、必要に応じ、暑熱順化期間の延長や、追加の暑熱順化を行うことも考えられます。暑熱順化ができていない場合には、特に作業時間の短縮を検討しましょう。
なお、いわゆる「スポットワーク」を利用する労働者を含め、夏季に短期間就労する者については、短期での暑熱下での作業を連続して繰り返している場合など、暑熱順化ができていると確実に把握できた場合を除き、原
則として、暑熱順化されていない者として取り扱うことが望ましいです。
ウ プレクーリング
WBGT 値が高い暑熱環境下で、作業強度を下げたり通気性の良い衣服を採用したりすることが困難な作業においては、作業開始前にあらかじめ深部体温を下げ、作業中の体温上昇を抑えるプレクーリングが効果的です。
体表面から冷却する方法と、冷水やアイススラリー(流動性の氷状飲料)などを摂取して体内から冷却する方法を検討しましょう。また、必要に応じて休憩時間中のプレクーリングも検討しましょう。
エ 水分及び塩分の摂取
安衛則第 617 条により、多量の発汗を伴う作業場では、塩及び飲料水を備え付けることが義務付けられており、当該作業場では、飲料水、スポーツドリンク、経口補水液、塩飴等を備え付けなければなりません。高温多湿作業場所においては、作業従事者について自覚症状以上に脱水状態が進行していることがあること等に留意の上、作業従事者の自覚症状の有無にかかわらず、水分及び塩分の作業前後の摂取及び作業中の定期的な摂取を指導するとともに、作業従事者の水分及び塩分の摂取を確認するための表の作成、作業中の巡視における確認等により、定期的な水分及び塩分の摂取の徹底を図ることが必要です。
塩分を摂取するときには、0.1~0.2%の食塩水、ナトリウム 40~80mg/100ml のスポーツドリンク等を 20~30 分ごとにカップ1~2杯程度を摂取することが望ましいですが、摂り過ぎに注意しましょう。なお、尿の回数が少ない又は尿の色が普段より濃い状態は、体内の水分が不足している状態である可能性があることを作業従事者に周知することが有効です。
特に、加齢や疾病によって脱水状態であっても自覚症状に乏しい場合があることに留意しましょう。また、高血圧であって塩分等の摂取が制限される、糖尿病であって糖分等の摂取が制限されるなど基礎疾患を有する作業従事者については、主治医、産業医等に相談させることが必要です。
オ 服装による身体冷却
作業の性質上通気性の確保等が困難ではない場合は、熱を吸収し、又は保熱しやすい服装は避け、透湿性及び通気性の良い服装を着用させることが必要です。
また、直射日光下における作業が予定されている場合には、通気性の良い帽子、ヘルメット等を準備しましょう。
服装等の選定に当たっては、作業の実態に合わせ、送風や送水により身体を冷却する機能を持つ服やヘルメットの中から適切なものを採用するなど、作業中の深部体温上昇の抑制に資するものを積極的に採用しましょう。
なお、身体を冷却する機能を持つ服を着用することは一定程度有効ではあるが、それのみでは熱中症を防止することは困難であるため、他の対策と組み合わせて実施することが望ましいです。
また、作業従事者の安全衛生確保のために、事業者が業務に関連し衣類や保護衣を指定することが必要な場合には、あらかじめ衣類の種類を確認し、WBGT 値の補正(表1-2)の必要性を考慮しましょう。
カ 作業中の巡視
定期的な水分及び塩分の摂取に係る確認を行うとともに、作業従事者の健康状態等(心拍数、体温及び尿の回数・色等の身体状況)を確認し、熱中症を疑わせる兆候が現れた場合において速やかに作業の中断その他必要
な措置を講ずること等を目的に、高温多湿作業場所での作業中は巡視を頻繁に行い、声をかける等して作業従事者の健康状態を確認することが必要です。
また、長時間の単独作業を避け、なるべく短時間にさせることも必要です。
複数の作業従事者による作業においては、作業従事者にお互いの健康状態について留意するよう指導するとともに、異変を感じた際には躊躇することなく周囲の作業従事者やあらかじめ定められた担当者に申し出るよう指導しましょう。また、熱中症の発症しやすさには個人差があるため、単独作業が避けられない場合などは、ウェアラブルデバイス等の導入による作業従事者の状態のリアルタイムでの把握と組み合わせることを検討することや体調の定期連絡など常に状況を確認できる態勢を確保することが望ましいです。
キ 業種・作業別対応例
作業管理に当たり、業種・作業別の対応例は、以下のものが挙げられます。
㋐ 建設現場をはじめとする屋外作業の場合
・ 太陽の位置を考慮して日陰となる場所で作業を行う。
・早朝から作業を行い、早帰りとするなどにより直射日光下での作業時間を短縮する。
・ 休憩場所まで遠い場合は、移動時間を考慮した休憩時間を設定する。
㋑ 運送業等の場合
・ 日陰でこまめに休憩する。
・ 温度差の大きい車内外を行き来することで身体に負担がかからないよう、自動車運転時に窓を開けて走るなどして車内外の温度差を作らないようにする。
・ 自転車に給水ボトルを付け、水分摂取を容易にする。
㋒ 重量物の運搬作業など身体作業強度が高い作業を行う場合
・台車、リフターを使用する
・複数人で作業する
など、1人当たりの身体作業への負荷を下げる。
㋓ 夜間のビルメンテナンス業等、屋内作業であっても冷房設備が停止している場合
・通気性の良い服装を着用させ、単独作業を避ける。
㋔ 調理場
・グリスフィルターの清掃により排気機能を確保し、温度上昇を抑制する。
㋕ WBGT値が極めて高い傾向にあるビニールハウス、畜舎等での作業
・早朝作業を行う
・こまめに日陰で休憩する。
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第12 動画解説
動画解説に興味がある方は、こちらをご視聴ください。
第13 参考資料
第14 補足:参考情報
1、今後、新しい情報が入れば、アップデートしたいと思っています。


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