【嘱託社員】定年前退職が必須、の継続雇用制度は、有効(〇)か。定年後再雇用について、弁護士がわかりやすく解説します【企業担当者必見】。

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【注目の裁判例】<京都地判令和7年3月27日>

弁護士田村裕一郎です。

今回は、定年前退職を必須とした、継続雇用制度が有効化、を解説します。

結論としては、企業は、このような制度を採用する場合、メリット及びデメリットを理解した上で採用すべき、というものです。

よりわかりやすい情報を取得したい方は、本記事のみならず、下記のYouTube動画も、ご視聴下さい。

裁判例の内容

準備中

企業はどうすべきか。

1、まず、今回の裁判例は、1審です。これが控訴されているかどうか、は必ずしも判然としません(2025年8月23日現在)。そのため、今後の上訴審(もしあれば)に注意すべきです。

2、次に、労働条件の不利益変更に注意すべき、です。この裁判例では、高年法の改正に合わせて、「新しく」再雇用制度を導入しています。そのため、労働条件の不利益変更の論点が出てきません。

しかし、本記事を読まれている企業は、おそらく、既に、何らかの継続雇用制度を導入されていることが多いと思われます。

そうすると、既存の継続雇用制度を変更することになりますので、仮に、定年前退職を必須とする継続雇用制度を導入する場合、労働条件の不利益変更に該当する可能性が高いです。

そのため、労働条件の不利益変更に該当しないよう、注意すべきです。

労働条件の不利益変更に関する動画は、こちらをクリックしてください

3、さらに、高年法に違反しないか、も注意すべきです。youtube動画で詳細な解説をしていますが、裁判では、高年法に反しないか、が厳しく争われます。制度の1つ1つの事項(年齢設定、賃金減額設定、応募期限など)について、細心の注意を払って、決定していくべきです。

4、加えて、同一労働同一賃金にも、注意すべきです。本裁判例と類似する制度を採用した場合、「65歳までの雇用を選択する」社員が出てきます。この場合、同一労働同一賃金に違反しないよう、賃金や業務内容などを決定する必要があります。

定年後再雇用に関する動画は、こちらをクリックしてください

5、最後に、組合等の意見にも、注意すべきです。過半数を占める労働組合や、(労働組合がない場合)過半数代表者、個々の社員がどのような意見を持っているのか、にも、留意すべきです。

★なお厚労省の見解は、次のとおりです。なお、厚労省は、「高年齢者雇用安定法Q&A」(令和7年3月31日改訂)(令和7年4月1日適用)を公表しており、その中には、下記は、含まれていません。もっとも、「高年齢者雇用安定法Q&A」(令和7年3月31日改訂)以前の、高年齢者雇用安定法Q&Aにおいて、下記を公表しておりましたので、下記は、その中からの抜粋です。

Q1-5:例えば55歳の時点で、
①従前と同等の労働条件で60歳定年で退職
②55歳以降の労働条件を変更した上で、65歳まで継続して働き続ける
のいずれかを労働者本人の自由意思により選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。

A1─5:高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支えありません。

Q1-6:例えば55歳の時点で、
①従前と同等の労働条件で60歳定年で退職
②55歳以降の雇用形態を、65歳を上限とする1年更新の有期労働契約に変更し、55歳以降の労働条件を変更した上で、最大65歳まで働き続ける
のいずれかを労働者本人の自由意思により選択するという制度を導入した場合、継続雇用制度を導入したということでよいのでしょうか。

A1─6:高年齢者が希望すれば、65歳まで安定した雇用が確保される仕組みであれば、継続雇用制度を導入していると解釈されるので差し支えありません。
なお、1年ごとに雇用契約を更新する形態については、高年齢者雇用安定法の趣旨にかんがみれば、65歳までは、高年齢者が希望すれば、原則として契約が更新されることが必要です。個々のケースにおいて、高年齢者雇用安定法の趣旨に合致しているか否かは、更新条件がいかなる内容であるかなど個別の事例に応じて具体的に判断されることとなります。

★上記を含む詳細については、YouTube動画をご視聴ください。

動画解説

本記事に関連する動画解説を希望される方は、下記YouTubeをご視聴下さい。

補足:参考情報

1、今後、新しい情報が入れば、アップデートしたいと思っています。

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