船井電機の倒産
弁護士田村裕一郎です。
船井電機の倒産ニュースが、世間を騒がせています。2024年10月25日ニュースによると、約2000名の解雇とのことです。突然の知らせに、従業員からは驚きの声が上がっているようです。
倒産を回避する方法は?❶(賞与削減、残業禁止、退職勧奨など)
労働案件を多数扱っている私からすると、
★倒産する前に、船井電機として、生き残る道はなかったのか?
という点が気になります。
具体的には、企業の業績悪化の場合、企業の採り得る選択肢として、
・賞与削減
・残業禁止による人件費削減
・広告費の削減
・新規採用募集の停止など、
各種の方法があります。また、
・退職勧奨
という手段もあります。退職勧奨について興味がある方は、下記の解説動画をご視聴下さい。
倒産を回避する方法は?❷(整理解雇)
仮に、上記手段が成功裡に終わらなかったとしても、
最終的には、整理解雇という手段も残されています。
整理解雇は、なかなか有効になりませんが、外部専門家意見を聞きながら実行すれば、有効になる可能性は、かなり高まります。実際の裁判例で、整理解雇有効になった裁判例も、多数あります(この解説動画に興味のある方は、下記をご視聴下さい)。
★整理解雇が有効になった裁判例をベースとして、整理解雇を解説した動画です。
倒産を回避する方法は?❸(産業雇用安定センターの利用)
なお、従業員の再就職支援のためには、公的機関を利用する方法もあります。
産業雇用安定センターは無料ですので、これの利用も考えられます。
企業経営者は、時に優しく、時に厳しく。バランスが重要
会社経営は非常に難しいもの。
売上向上により黒字化する方法もありますが、経費削減により黒字化する方法も、あります。
経営者の社員に対する対応についても、いわゆる褒め育てが重要ですが、経営悪化の場合は、厳しい判断を余儀なくされることも、あります。
船井電機の経営者の方々も、真摯に対応されておられたと拝察しますが、適切な時期に適切な対応をしていたのかと問われれば、今回の倒産ニュースを読む限り、世間からは厳しい評価になるのかもしれません。
企業はどうすべきか
外資系企業などでは、社長交代は珍しくありませんが、売上増加に強い経営者が新しく就任する場合もあれば、経費削減に強い経営者が新しく就任する場合もあります。
経営者は常に、難しい舵取りを迫られますが、経営コンサルタントや、弁護士、会計士、税理士、社労士などの外部専門家の意見を聞きながら、答えのない問題について決断しなければなりません。
今回の船井電機の倒産からは、規模の大小関係なく、経営の難しさと適切な判断の大切さを再確認させられます。
補足:参考情報
1、船井電機の破産管財人は、阿部・井窪・片山法律事務所所属の弁護士のようです。同法律事務所は、弁護士業界では、倒産に強いということで、有名な事務所です。裁判所としても、専門性が高く、かつ規模の大きい法律事務所の弁護士を探していたと思われます。個人的には、適切な弁護士が破産管財人に選任されたという印象です。
2、今後、新しい情報が入れば、アップデートしたいと思っています。
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